農業経営のコスト削減のため、「ジェネリック農薬」に注目が集まっています。
ジェネリック農薬は、ジェネリック医薬品と同じように、先行開発したメーカーの特許期間が切れたあとに、他のメーカーが同じ成分を使って開発したもの。オリジナルの農薬に比べて開発費が抑えられるので、市販価格も下げることができます。
農林水産省によれば、世界の農薬市場の30%はジェネリック農薬。一方、日本で登録されているジェネリック農薬は2016年1月時点で67件と、全登録農薬の2%以下に留まっています。
日本でジェネリック農薬の普及が進まないのは、厳しい農薬登録制度が理由です。農薬の販売のためには、農林水産省への登録が必要となります。JA全農によると、ジェネリック農薬の登録に必要な安全試験にかかる費用は11億円。オリジナル製品は約12億円と費用があまり変わらず、大きな価格差をつけることができないため、ジェネリック農薬は積極的に開発されてきませんでした。
政府は、ジェネリック農薬の普及を目指し、2017年4月から農薬取締法を改正する方針を打ち出しました。改正されれば、ジェネリック農薬の登録制度が簡素化。大きなコスト削減が可能となります。
JA全農では、2020年までにジェネリック農薬を最大10種類ほど追加開発する方針を打ち出しており、今後日本でも普及していくことが予想されます。
今後輸入が増えていくことも予想される農産物。海外の農産物に負けないために、ジェネリック農薬の活用など、今まで以上のコスト削減が必要となってきます。