タバコへの風当たりが年々強まっている日本。政府は2020年の東京オリンピックまでに飲食店を全面禁煙(喫煙室の設置は可)とするなどのタバコ規制案を示し、喫煙者にとってさらに厳しい環境になりそうです。
禁煙に進む社会の影響を受け、タバコの販売本数は年々減少。日本最大手のたばこメーカーJTの2016年の販売数量は1062億本となり、2010年に比べて21%減少しています。
▼参考:https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-06/OKS69T6JIJUP01
タバコ業界にとって厳しい環境が続くなか、人気を集めているのが、火を使わず煙が出ない「たばこベイパー」。いわゆる“無煙タバコ”です。
たばこベイパーはタバコ葉に火をつけて吸う紙巻タバコとは違い、専用の機器を使って蒸気をタバコ葉に通して吸う“タバコ”。
たばこベイパー分野で先行しているのは、フィリップ・モリスの「iQOS(アイコス)」です。iQOSは2016年4月から全国発売し、同年12月最終週には国内市場シェア7%を記録。通常、たばこの新ブランドは発売から1年間で0.5%のシェアを獲得できれば成功の中、急速なシェア獲得に成功しました。iQOSは生産体制を引き上げていますが、売り切れが相次いでいる状況です。
JTでも2016年3月から、「プルームテック」というたばこベイパーを福岡で先行発売しています。プルームテックは発売7日間で出荷停止となるほどの人気を集め、2017年6月からは東京で、2018年上期には全国で発売予定です。
他にも、イギリスのタバコメーカー、ブリティシュ・アメリカン・タバコが2016年12月から、たばこベイパー「glo(グロー)」の先行販売を仙台で開始。JTによると、日本のたばこ販売に占めるたばこベイパーの割合は、2017年末に全体の15%程度になると予測しています。
タバコが売れない時代に、需要が高まる「たばこベイパー」。各社はこの新たなタバコのシェア獲得を目指していきます。