『格安スマホ』の登場により、これまで大手キャリア3社(ドコモ・au・ソフトバンク)の寡占状態だった携帯電話市場が変わってきています。
格安スマホとは、格安SIMを利用したスマホ。格安SIMはMVNO事業者が大手キャリア3社のネットワークを借り、提供しているSIMカードです。大手キャリアと同じネットワークを使っており、通常使用での差はそれほど大きくなくなってきました。
格安スマホ参入企業はおよそ170社。イオン・楽天など大手企業も参入しています。格安スマホの利用料金は大手キャリア料金の半分以下になるケースが多く、低価格を武器に契約数を急速に伸ばしてきました。
MM総研によると、2016年3月末の格安スマホ契約回線数は約540万件となり、2013年からの3年間でおよそ7倍。契約数540万件は、国内スマホ市場の約1割となっています。
また、総務省が携帯会社に対し端末料金の「実質ゼロ円」の廃止を要請したことで、大手キャリアは端末料金の大幅な値下げが難しくなりました。携帯端末を定価で購入することの多い格安スマホと端末料金の面でも差をつけづらくなり、大手キャリアの優位点は少なくなってきています。
これまで新規獲得を重視してきた大手キャリア3社でしたが、格安スマホへの流出を防ぐため、既存顧客への優遇を実施し始めました。
ソフトバンクは、「SUPER FRIDAY」という毎週金曜日に使用できる無料クーポンの配布を2016年10月~12月に実施。吉野家の牛丼やサーティーワンのアイスクリームなどが無料で手に入り、大行列が話題になりました。第二弾として、2017年2月からの再開を発表しています。
auでは、auスマートパスプレミアムの加入(税込538円/月)により、日替わりで割引クーポンが手に入る「auエブリデイ」を開始。映画の鑑賞料金の割引やマクドナルドでポテトSが無料でもらえるクーポンなどが利用可能です。
ドコモでも、2017年より25歳以下の利用者にローソンやマクドナルドの店舗で使える無料クーポンの配布が開始。1ヶ月に1度、ローソンの「からあげクン」やマクドナルドの商品と交換できるクーポンが配信となる予定です。
大手キャリアは、格安スマホに料金で勝負することは困難。今後、価格以外の部分で利用者への価値をつくっていくことが重要となります。