
石けん、シャンプー、洗剤、おむつ・生理用品、歯ブラシ、歯磨き粉などの日用品を扱うのがトイレタリー(日用品)業界です。
経済産業省「生産動態統計調査」によると、トイレタリー製品の国内出荷額は約6200億円(2017年)。国内メーカーの花王、ユニ・チャーム、ライオンと、外資系のプロクター・アンド・ギャンブル (P&G)の4社で、国内シェアの半分ほどを占めます。
競争は激しく、各社があらゆる分野でしのぎを削っています。
トイレタリー業界の企業はマーケティング力にすぐれ、新たな市場を創造することが得意な企業が多いのも特徴です。高齢化が進む現在では、介護用など、大人向けおむつが好調を維持しています。
ほかにも「節水できる」「香りがいい」といった付加価値機能がついた製品を投入するなど、各社が市場を活性化させています。
花王が脂肪を消費しやすくする効果が認められた特定保健用食品(トクホ)「ヘルシア」を開発するなど、異業種への進出も目立ってきました。
国内人口の減少や景気の低迷一方、インバウンド(訪日外国人客)需要の増加、円安による輸出の好調で、業界は概ね増益傾向を保っています。とはいえ、少子化が進む国内市場では、今後大きな伸びが期待できないことも予想されます。
そのため、各社は中国をはじめアジア市場を中心に、現地生産など事業の現地化を進め、進出先市場のニーズにマッチした製品を投入するなどして、海外市場に販路を広げています。
海外市場ではネット販売(e-コマース<EC>)の割合が伸びており、その対応が、各社の業績を大きく左右しそうです。
生活の中で使われる日用品を扱うトイレタリー業界は、人気商品の動きが激しく、商品企画でもマーケティングでもダイナミックな仕事ができます。
海外進出も活発なので、海外で働きたい人にとっては、ますます魅力のある業界になっているといえるかもしれません。
製品の企画やマーケティングなどが花形の仕事。新製品開発のほか、生産現場での工場管理、品質管理などの技術系の仕事も多く、スーパーなど小売への営業も重要な仕事です。このほか、メディア活用戦略や広告計画などの仕事もあります。