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黒船FinTech銀行業務がIT技術で変わる

総預金額664兆4353億円、貸出金464兆1280億円(全国銀行預金・貸出金等速報 平成28年2月末 一般社団法人全国銀行協会)と、まさに他の業界とはケタ違いの規模を誇る金融業界。

企業の活動におけるお金の流れは、人間の体における血液によくたとえられる。そして、その血液たるお金をすみずみまで運ぶのが「金融」だ。金融なくして経済は成り立たない。

現在、日本の金融業界は、3メガバンクが形成するグループがその中枢を担っており、そのほかの都市銀行、地方銀行、ネット銀行各社がそれぞれの持ち場で活躍しているというのが大きな見方だ。

全体としては国内向け貸出金の推移は堅調であるが、今後は海外展開も積極的に行われていくだろう。

金融業界では「FinTech」というキーワードが話題になっている。FinTechは、IT技術を活かした新しい金融サービスのことで、アメリカで生まれ、瞬く間に世界に広まった。

もちろん日本も例外ではなく、国内においても楽天カードやアマゾン・キャピタル・サービスなどがそれぞれの出店者向けにオンライン融資事業を始める動きが始まっている。

メガバンクがFinTech関連企業との提携やM&Aを進めることになれば、日本の金融業界はかつてない変化を経験することになるだろう。

現在の銀行法では銀行とFinTech関連企業が提携することは難しいのだが、それを可能にさせる改正案が既に閣議決定された。2016年の通常国会で成立する見込みである。

企業や個人から預金を集め、その預金を元手に融資を行い運用益を得る。これが業務の基本的な流れではあるが、あまりに巨大な業界ゆえ、関わる人の職種も多い。お金を集める個人・法人向けの営業、お金を運用するディーラー、トレーダーがいれば、その企業に投資をするか否かを検討する審査担当、アナリストもいる。いずれにしてもその道の専門職としての知識が求められる。

金融とIT技術の融合が一気に加速する
FinTechへの国際的な投資動向
百万ドル
前年と比べて
約3倍の伸び
出典アクセンチュアおよびCB Insights

金融業界を席巻しているキーワードに「FinTech」というものがある。「Finance(金融)」と「Technology(技術)」を組み合わせた造語であり、IT技術を駆使して生まれた新しい金融サービスを指す。

金融サービスといっても、その主な担い手は銀行ではなく、IT関連のスタートアップ企業やネット企業である。

FinTechの領域は、中小企業向けのオンライン融資や、個人向けの投資支援サービス、スマートフォンやWeb上での決済/送金サービスなど多岐にわたる。これまで銀行などの金融機関が開拓できていなかった市場を次々とFinTechが広げているのだ。

その勢いはデータを見れば一目瞭然。全世界のFinTich関連企業への投資額は、2014年に世界で120億ドルを超える額にまで達した。これは前年の約3倍の数字だ。

もちろんこの動きは日本でも同様。GMOペイメントゲートウェイ、楽天カードなどが競って参入してきている。これまで銀行の「聖域」であった分野に新規参入者が増えた形だが、当然銀行も指をくわえて見ているだけではない。

活発化していく業界の中で既存の金融機関やFinTech関連企業がどう立ち回るか。業界全体でダイナミックな動きが起こるのは間違いない。

増加する銀行貸出海外進出も拡大
全国銀行の貸出金の年末残高
兆円
堅調な伸びを見せる貸出金
出典「全国銀行 預金・貸出金速報」(一般社団法人 全国銀行協会)

業界全体の貸出金の推移を見ると、ここ数年間ずっと拡大傾向にあることがわかる。なんと2015年12月まで前年同月比で52カ月連続で増えているのだ。

日本国内の大企業のみならず、中小企業においても設備投資や事業承継に伴う資金需要が増え続けていることがその原因である。2015年9月には、中小企業向けの貸出金額が約193兆円と、大企業向けの貸出金額約98兆円を大きく上回ることになった。

それを支えるのが地方銀行の存在だ。貸出が好調なのはメガバンク3行だけなのではなく、各地に散らばる地方銀行や信託銀行も同様である。

とはいえ、貸出金利は低下が続いているため、国内だけでは収益がいずれ高止まりしてしまうことも考えられる。三菱UFJフィナンシャル・グループがタイのアユタヤ銀行を買収するなど、海外へ向けての動きも近年は増えつつある。金融もグローバル化の流れが加速している。

巨大な金融業界3メガバンクが中心
3メガバンク
※ 図中の数字は総資産
出典各社の2015年3月期の決算書をベースに作成
3メガバンクの銀行単体の純利益
百万円
出典各行の2015年3月期の決算書より算出

バブル経済崩壊後に始まった銀行再編。1998年の金融持株会社解禁を受けてその波は一気に加速し、現在、都市銀行は三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループの3メガバンクグループ体制が続いている。

まずは、それぞれのグループの中核となる銀行単体のデータを見てみよう。総じて経営は安定しているが、「国内最大の資産規模を誇る三菱東京UFJ銀行」、「資金量に対しての純利益の割合が高い、つまり効率性の高い三井住友銀行」、そして「資金量は2位、純利益は3位と、他の2行を僅差で追うみずほ銀行」という見方ができる。

この3大メガバンクがそれぞれ信託銀行や証券会社などを含めてグループを形成しているのだが、その規模は日本企業トップクラス。

特に、三菱UFJフィナンシャル・グループは2015年3月期の決算で純利益1兆円超えを果たしており、これは1位のトヨタ自動車に迫る2位の数字だ。さらに、日本全体の3位に三井住友フィナンシャルグループ、5位にみずほフィナンシャルグループと続く。

つまり、5位までの間にメガバンクグループ3社が入っているということだ。この3社が日本の経済を支える役割を果たしていると言っても、決して過言ではない。

収益を伸ばすネット銀行
主要ネット銀行の純利益
百万円
セブン
銀行
(連結)
イオン
銀行
大和
ネクスト
銀行
住信SBI
ネット
銀行
楽天
銀行
オリックス
銀行
ソニー
銀行
セブン銀行が
頭一つ抜けている
出典各行の2015年3月期の決算書より算出

ネット銀行は、ネットや電話などの通信端末を使ってのやり取りを前提としている銀行のこと。都市銀行や地方銀行などのようにたくさんの支店、ATMを自前で持つことをせず、必要最低限の店舗しか持たない。ATMは既存の銀行と提携し、そこで使えるようにする。

人件費や店舗運営コストを抑えることができるため、既存の銀行と比べると預金金利はやや高めに設定されている。

各行のデータを見ると、セブン銀行の純利益が圧倒的に抜け出ている。日本各地にあるセブンイレブンにATMを設置できるため、顧客の利便性は高い。

もちろん他のネット銀行も、提携する銀行を増やすなどして順調に口座数を増やしており、ネット銀行全体での貸出金伸び率は、なんと前年比20.3%増。メガバンクの伸び率が約1%なので、その勢いは驚異的である。

ネット銀行各社は、FinTech企業との連携も積極的だ。例えば楽天銀行の親会社である楽天は、楽天市場の出店事業者向けに、楽天カードを通じた融資を開始。既存の金融機関ではできない付加価値を利用者にアピールしている。

FinTechとの組み合わせで、ネット銀行各社は今後より一層の成長が見込まれるだろう。

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