銀行業界の動向

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業界ポイント
  • 黒船《FinTech》金融とITの融合が一気に加速!
  • 貸出金は拡大傾向。でも収益を圧迫しているのはナゼ?
  • 着実に収益を伸ばすネット銀行に注目せよ!

黒船FinTech銀行業務がIT技術で変わる

総預金額687兆6849億円、貸出金470兆5073億円(全国銀行預金・貸出金等速報 平成28年10月末 一般社団法人全国銀行協会)と、まさに他の業界とはケタ違いの規模を誇る金融業界。

企業の活動におけるお金の流れは、人間の体を流れる血液によくたとえられます。そして、その血液たるお金をすみずみまで運ぶのが「金融」。金融なくして経済は成り立ちません。

現在、日本の金融業界は、3メガバンクが形成するグループがその中枢を担い、そのほかの都市銀行、地方銀行、ネット銀行各社がそれぞれの持ち場で活躍しているというのが大きな見方です。

2016年1月に日本銀行がマイナス金利を導入。加えて、海外への貸出が鈍化した影響もあり、3メガバンクは減益の傾向にあります。今のところ、目立った下げ幅にはなっていませんが、今後、人口減少などに伴い国内の資金需要の大幅な増加は期待しにくいなかで、新たな収益の基盤を拡充していくことが求められるでしょう。

金融業界では「FinTech」というキーワードが話題になっています。FinTechは、IT技術を活かした新しい金融サービスのことで、アメリカで生まれ、瞬く間に世界に広まりました。

もちろん日本も例外ではなく、国内においても楽天カードやアマゾン・キャピタル・サービスなどがそれぞれの出店者向けにオンライン融資事業を始める動きが始まっています。

メガバンクがFinTech関連企業との提携やM&Aを進めることになれば、日本の金融業界はかつてない変化を経験することになるでしょう。

現在の銀行法では銀行とFinTech関連企業が提携することは難しいとされていましたが、それを可能にさせる改正案が国会に提出され、2016年5月に成立しました。さらに国内のFinTech関連の動きは加速していくでしょう。

企業や個人から預金を集め、その預金を元手に融資を行い運用益を得る。これが業務の基本的な流れですが、あまりに巨大な業界なので、関わる人の職種も多い。お金を集める個人・法人向けの営業、お金を運用するディーラー、トレーダーがいれば、その企業に投資をするか否かを検討する審査担当、アナリストもいるわけです。いずれにしてもその道の専門職としての知識が求められるといえるでしょう。

金融とIT技術の融合が一気に加速する
FinTechへの国際的な投資動向
百万ドル
前年と比べて
約3倍の伸び
出典アクセンチュアおよびCB Insights

金融業界を席巻しているキーワード「FinTech」について詳しくご紹介しましょう。「Finance(金融)」と「Technology(技術)」を組み合わせた造語で、IT技術を駆使して生まれた新しい金融サービスを指します。

金融サービスといっても、その主な担い手は銀行ではなく、IT関連のスタートアップ企業やネット企業です。

FinTechの領域は、中小企業向けのオンライン融資や、個人向けの投資支援サービス、スマートフォンやWeb上での決済/送金サービスなど多岐にわたります。これまで銀行などの金融機関が開拓できていなかった市場を次々とFinTechが広げているのです。

その勢いはデータを見れば一目瞭然。全世界のFinTich関連企業への投資額は、2014年に世界で120億ドルを超える額にまで達しました。これは前年の約3倍の数字です。

もちろんこの動きは日本でも同様で、GMOペイメントゲートウェイ、楽天カードなどが競って参入してきています。これまで銀行の「聖域」であった分野に新規参入者が増えた形になりますが、当然銀行も指をくわえて見ているだけではありません。

活発化していく業界の中で既存の金融機関やFinTech関連企業がどう立ち回るか。2016年9月には、みずほ銀行とソフトバンクが、Finetchの技術を活かした個人向けの融資サービスのための合弁会社の設立を発表しました。業界全体でダイナミックな動きが起こるのは間違いないでしょう。

増加する銀行貸出もゼロ金利で収益を圧迫!
全国銀行の貸出金の年末残高
兆円
堅調な伸びを見せる貸出金
出典「全国銀行 預金・貸出金速報」(一般社団法人 全国銀行協会)

業界全体の貸出金の推移を見ると、ここ数年間ずっと拡大傾向にあることがわかります。なんと2015年12月まで前年同月比で52カ月連続で増えているわけです。

その原因とされているのが、日本国内の大企業のみならず、中小企業においても設備投資や事業承継に伴う資金需要が増え続けていること。2015年9月には、中小企業向けの貸出金額が約193兆円と、大企業向けの貸出金額約98兆円を大きく上回ることになりました。

とはいえ、日本銀行のゼロ金利政策の影響で、貸出金利の低下が続いているため、銀行が貸出などで利ザヤを確保するのが厳しくなり、収益を圧迫しつつあります。

各銀行、新たな収益の基盤が求められるなかで、地方銀行では経営統合などによる再編の動きが加速しているということです。

巨大な金融業界3メガバンクが中心
3メガバンク
※ 図中の数字は総資産
出典各社の2016年3月期の決算書をベースに作成
3メガバンクの純利益
百万円
三菱UFJ
フィナンシャル・
グループ
みずほ
フィナンシャル・
グループ
三井住友
フィナンシャル・
グループ
出典各行の2016年3月期の決算書より算出

バブル経済崩壊後に始まった銀行再編。1998年の金融持株会社解禁を受けてその波は一気に加速し、現在、都市銀行は三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループの3メガバンクグループ体制が続いています。

それぞれのグループの中核となるのが、三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の3行。いずれも経営は安定していますが、「国内最大の資産規模を誇る三菱東京UFJ銀行」、「資金量に対しての純利益の割合が高い、つまり効率性の高い三井住友銀行」、そして「銀行・信託銀行・証券の一体運営でグループ力が売りのみずほ銀行」という特徴があります。

この3行がそれぞれ信託銀行や証券会社などを含めてグループを形成しているわけですが、その規模はすべての日本企業のなかでもトップクラス。

特に、三菱UFJフィナンシャル・グループは2015年3月期の決算で純利益1兆円超えを果たしました。2016年3月期は約9500億円と1兆円を割ったが、それでも国内純利益1位のトヨタ自動車に次ぐ2位の数字。さらに、日本全体の4位にみずほフィナンシャルグループ、5位に三井住友フィナンシャルグループと続きます。

つまり、5位までの間にメガバンクグループ3社が入っているということ。この3社が日本の経済を支える役割を果たしていると言っても、決して過言ではないのです。

収益を伸ばすネット銀行
主要ネット銀行の純利益
百万円
セブン
銀行
イオン
銀行
楽天
銀行
オリックス
銀行
住信SBI
ネット
銀行
大和
ネクスト
銀行
ソニー
銀行
セブン銀行が
頭一つ抜けている
出典各行の2016年3月期の決算書より算出。原則、連結ベース

ネット銀行は、ネットや電話などを使ったやり取りを前提としている銀行のこと。都市銀行や地方銀行などのようにたくさんの支店、ATMを自前で持つことをせず、必要最低限の店舗しか持ちません。ATMは既存の銀行などと提携し、そこで使えるようにしています。

人件費や店舗運営コストを抑えることができるので、既存の銀行と比べると預金金利はやや高めに設定されているのが特徴です。

各行のデータを見ると、セブン銀行の純利益が圧倒的に抜け出ていることがわかります。日本各地にあるセブンイレブンにATMを設置できるため、顧客の利便性は高いといえるでしょう。

もちろん他のネット銀行も、提携する銀行を増やすなどして順調に口座数を増やしており、ネット銀行全体での貸出金伸び率は、なんと前年比約20%増。メガバンクの伸び率が約3%なので、その勢いは驚異的です。

また、ネット銀行各社は、FinTech企業との連携も積極的です。例えば楽天銀行の親会社である楽天は、楽天市場の出店事業者向けに、楽天カードを通じた融資を開始。既存の金融機関ではできない付加価値を利用者にアピールしています。

FinTechとの組み合わせで、ネット銀行各社は今後より一層の成長が見込まれるでしょう。

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